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2004.07.27

「草野心平詩抄」を読む

『現代詩手帖』6月号「生誕101年草野心平新発見」には
粟津則雄・池井昌樹・城戸朱理の3氏の編集による
「草野心平詩抄」が掲載されていました.
収録作品は以下の12篇です.

秋の夜の会話
ヤマカガシの腹のなかから仲間に告げるゲリゲの言葉
久板卯之助ノ死
ドストエフスキー

序詞
大白道
わが抒情詩
誕生祭
ごびらっふの独白
百姓といふ言葉
生きたい・生きる

私は「秋の夜の…」や「ヤマカガシの…」等のいわゆる蛙詩が好きです.
ところで,蛙詩,というと,どうも,すぐに
小さな生命への愛と共感に満ちた暖かい視線が云々……
といった話になりがちですが
そういう話は中学校の教科書におまかせしておきましょう.

例えば「秋の夜の会話」.
初期の傑作『第百階級』に収録されたこの小品は
「さむいね。/ああさむいね。/虫がないてるね。/ああ虫がないてるね。」
で始まるわずか14行1連で草野独自の蛙世界を構築し得ています.
これはア行音による頭韻や全行「ね」で終わる大胆な脚韻といった
音韻の効果によるところが大きいと思われます.

例えば「ヤマカガシの腹のなかから仲間に告げるゲリゲの言葉」.
この作品の場合は言葉の勢いとスピード感,その持続が鍵.
途中で息切れしたりモタついたりしないからこそ
「死んだら死んだで生きてゆくのだ。」といった詩句が生きるんでしょうね.

「誕生祭」や「ごびらっふの…」にみられる
オノマトペ(擬声語・擬態語)の独自さ,多彩さも特徴的ですね.
草野の音韻に対する大胆な工夫と繊細な配慮が可能にしているのでしょう.
ことに「誕生祭」の最終連.
「ぎやわろっぎやわろっぎやわろ」×21行!
は,なかなか真似のできるものではありません.

草野心平が読みたくなったら先ずは現代詩文庫から始めてみては如何でしょう.
ちなみに現代詩文庫の「草野心平詩集」はこちらから購入できます.

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