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2004.09.25

麦酒のように

中桐雅夫の『詩の読みかた詩の作りかた』を読んだ.

「詩とはなにか」と正面切った問いかけから始まる18のレッスンは,比喩からイメジへ,イメジから想像力へ,想像力から記憶へ,形式と内容へ,と展開され,深まってゆく.その到達点に待っていたのは,美の追求と真の追求との関係という,芸術や詩にとって永遠のと言ってもよい究極の課題.中桐はオーデンの言葉を引き,真と美との間の緊張と協力があってはじめて詩が成立するとしている.

そこで思い出すのが中桐のこんな詩句だ.

戦いと飢えで死ぬ人間がいる間は
おれは絶対風雅の道をゆかぬ(「やせた心」より)

1979年,17歳だった私は刊行されたばかりの詩集『会社の人事』の書評でこの言葉と出会った.それから数年間,青春期の自分はこの言葉に導かれ励まされて生きてきた.だが当時の私はこの言葉を誤解してもいた.『詩の読みかた詩の作りかた』を読んでようやくそのことに気づいたように思われる.ようやく呪縛から解かれたように…….

久しぶりに『会社の人事』を開いてみる.何篇か拾い読みしただけでもはっきりと分かる.中桐の詩は17歳の頃に読んだときよりもずっとずっと苦く,そして味わい深い.いま私の喉を落ちてゆく麦酒のように.

ちなみに『詩の読みかた詩の作りかた』はこちらで,『会社の人事』はこちらで,購入できます.便利で安全,アマゾンです.

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