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2004.10.26

追悼,川崎洋さん

川崎洋さんが亡くなられた.享年74歳.先月の『現代詩手帖』にも特集された「第三期」の詩人の一人だ.

ほぼ同世代で,同じ『櫂』の同人であった谷川俊太郎や大岡信に比べると,川崎さんはやや地味な印象を持たれがちだが,読売新聞の読者にとっては両名よりもはるかに馴染み深いことだろう.同紙くらし面に連載されていた「こどもの詩」の選者を20年に亘り担当されてきたからだ.人柄を感じさせる温かな選評に,しみじみと,あるいはほのぼのとした想いを持った者は少なくないはずだ.

しかし,その感動を見えないところで支えていたのは,子ども達の多彩,多様な作品の中から,豊かな発想とまっすぐな表現力とを選び出す選球眼である.たとえば,川崎さんは子供向けや翻訳も含め詩のアンソロジーを多数出版されているが,どれをとってもセレクションが絶妙だ.秀作の数々を飽きさず読ませてくれるし,目立たないささやかな作品にも眼配りが効いている.

川崎さんの眼が向けられるのは詩だけではない.殊に全国各地の方言や悪態,おまじないやあそび歌等を収集した一連の仕事には,川崎さんの日本語への愛着,こだわりが感じられ,興味深いものがあった.川崎さんの活躍の場は更に児童文学やテレビ・ラジオ(放送脚本),翻訳,エッセーといった分野にまで及んだ.そういった意味では誰よりも幅広く支持され愛された詩人と言えるかもしれない.共にご冥福を祈るばかりである.

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