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2005.02.18

現代詩手帖、2月号の読みどころ(1)

まだ1月号の抜書きも終わっていないのに、もう2月号を紹介しようという魂胆である。もしかしたら、この記事を読んで2月号を買うかどうかを決める人もいないとは限らない。そう思うと1月号のカタをつけるよりも、こちらを優先したほうがよいのではないか……などと言い訳も考えた。本当のところは1月号の最後のひとつがなかなか書けないでいるだけなのだが。

さて先ずは特集に目を向けてみよう。今月の特集は「詩の森文庫――入門から専門へ」。『手帖』の出版元でもある思潮社が先月創刊した「詩の森文庫」を紹介するものだ。自社品のPRが特集になっていると思うと、少し悔しい気もするが(1200円の半額くらい返せ!)、さすがは思潮社とも言える。齋藤愼爾・城戸朱理・野村喜和夫の座談会を筆頭に、重鎮から若手まで24名の著名詩人が、それぞれに「詩の森文庫」への想いを語っている――これだけの豪華キャストを揃えられるのは思潮社ならではのことだ。中でも印象的だった小笠原鳥類の言葉を引く。

詩を書くこと及び詩を読むことは迷うことであり、結論のようなものだけが重要なのではなくて、途中経過をいつまでもくねくねと体験することが重要であろう……中略……「詩の森文庫」の<森>は憩いの場所でもあるのだが、読者を迷いに導くような、迷宮のような、いろいろな植物や動物がいるような、そういう暗い場所であってほしいとも思う。……中略……そこを<どう迷うことによって面白くなるのか>を教えるものであってほしい。(「そこで迷うこと――入沢康夫論のように」より」)

クリティック5冊とエッセイ5冊からなる創刊時のラインナップ(下記参照)を見ると小笠原の期待にも十分応えるものになりそうだと予感される。そこには、入門者を含めた読者と共に現代詩の歴史を辿りなおし、その流れを踏まえて詩の現在を位置づけなおそうとする意図が見てとれるからだ。インターネットの普及と進化によって詩の書き手が急増する一方、こうした書き手の多くが現代詩を読むことのないまま書き綴っていると言われる。いずれにとっても不幸な2つの詩の世界の分裂に、現代詩のメインストリームを支えてきた思潮社が架橋をもたらす。そう考えるとワクワクさせられる。注目のシリーズだ。

クリティック

吉本隆明.際限のない詩魂――わが出会いの詩人たち
谷川雁.汝、尾をふらざるか――詩人とはなにか
埴谷雄高.幻視の詩学――私のなかの詩と詩人
鮎川信夫.近代詩から現代詩へ――明治、大正、昭和の詩人
大岡信.昭和詩史――運命共同体を読む

エッセイ

田村隆一.自伝からはじまる70章――大切なことはすべて酒場から学んだ
天沢退二郎他.名詩渉猟――わが名詩選
吉野弘.詩のすすめ――詩と言葉の通路
辻征夫.私の現代詩入門――むずかしくない詩の話
野村喜和夫.現代詩作マニュアル――詩の森に踏みこむために

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