« 言葉の不思議をめぐって――現代詩手帖1月号から(5) | トップページ | お久しぶりね、13ページの7行目 »

2005.02.10

瀬尾育生「あなたは不死を河に登録している」――現代詩手帖1月号から(6)

抜書きもさすがに飽きてきたが、まだ2つ紹介しておきたい作品がある。今回はそのうちの1つ。瀬尾育生の「あなたは不死を河に登録している」。

錆びついた横浜正金銀行の
階段伝いに降りてくる。
裸足で国家が泣いている。
あおむらさきに夜が死ぬ。
いまもあなたを呼ぶ声がする。(冒頭部分)

なんとも謎めいた異様な書きだしだ。「国家」が裸足で泣く、とはどのような事態なのか。「横浜正金銀行の階段」を降りてくるのは誰か、「国家」なのか。ならば「あなた」も国家か。それとも「あなたを呼ぶ」のが国家なのか。

「横浜正金銀行」(現・三菱東京銀行)は明治時代に日本で唯一の外国為替銀行として発足。それ以来、長く独占的地位を保ったが、敗戦後は普通銀行化され東京銀行に。この作品には他にも「一九三二年」という言葉が登場しており(五・一五事件、上海事変の年)、謎解きのヒントを提供しているようにも思われる。しかし不勉強のせいかボクにはまだ読解できない。いや、そもそも、これらの言葉もまた謎を深めるだけの罠なのかもしれない。

なんとも言いようのない緊張感が全篇に満ちている。一言で言えば「わからない。けど(から?)、かっこいい」作品だ。

|

« 言葉の不思議をめぐって――現代詩手帖1月号から(5) | トップページ | お久しぶりね、13ページの7行目 »

コメント

ナラジュンさん、当方はロシアですがウラジミルと申します。前日、ロシア語に翻訳された瀬尾育生のある作品を読みました。その書名を再翻訳してみるとKing of Desroying か、破壊王という書名かなあ。ロシアにすんでいて、日本語で書いてあるそれは手にどうしても入れないのでお出来ることなら私のE-mailにでも書いて、送って頂けませんか。”私、地球の母である”と自称するカエルについて日本語で読みたくて読みたくて。。。 そちらにはそれがありましたら何と嬉しくなるのでしょう。
宜しくお願い致します。

投稿: Vladimir | 2005.09.16 14:59

ウラジミルさん、ならぢゅん です。遥かロシアからコメントを頂き有難うございました。瀬尾さんの作品は余り読んだことがなく、「King of Destroying」も「破壊王」も見当がつきません。取りあえず瀬尾さんが日本で出版なさった詩集のリストをお示しします。何か手がかりがつかめたら、またご連絡下さい。では、また。

     ○     ○

『水銀灯群落』(1976年)
『吹き荒れる網』(1981年、弓立社、絶版)
『らん・らん・らん』(1984年、弓立社、絶版)
『ハイリリー・ハイロー』(1988年、風琳堂、絶版)
『Deep purple 瀬尾育生詩集』(1995年、思潮社、絶版)
『モルシュ』(1999年、思潮社)

なお上記のオリジナル詩集のほかに以下の選集が出版されています。

『瀬尾育生詩集』(1993年、現代詩文庫107、思潮社)

この選集には『ハイリリー・ハイロー』と『Deep purple』の全篇ならびに『吹き荒れる網』と『らん・らん・らん』から数篇ずつが採録されています。

投稿: ならぢゅん(ウラジミルさんへ) | 2005.09.20 12:20

ウラジミルさん、こんにちは、ならぢゅん です。

このブログの読者、りん さんから情報を頂きました。

先日の詩のタイトルは「粉砕王」というもので『瀬尾育生詩集』(1993年、現代詩文庫107、思潮社)に掲載されているそうです。そちらから日本のAMAZONに発注することは出来ませんか? 手に入るといいですね。では、また。

■ 瀬尾育生詩集(AMAZON)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4783708746/yneco-22/249-3189893-0239555

投稿: ならぢゅん(ウラジミルさんへ) | 2005.10.05 12:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30439/2871433

この記事へのトラックバック一覧です: 瀬尾育生「あなたは不死を河に登録している」――現代詩手帖1月号から(6):

» ◆詩は、世の中に必要か [文屋]
現代詩のことを書く。現代詩のことは時々考える。 「詩」のこととは、まったく違った次元で。 先日、聞いた話。新しく詩集を出した人が、京都の書店に自分の詩集を持ち込... [続きを読む]

受信: 2005.02.16 15:51

» 瀬尾育生の破壊王? [矮猫亭日乗II]
2月に投稿した記事「瀬尾育生「あなたは不死を河に登録している」――現代詩手帖1月 [続きを読む]

受信: 2005.09.26 12:16

« 言葉の不思議をめぐって――現代詩手帖1月号から(5) | トップページ | お久しぶりね、13ページの7行目 »