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2005.04.30

ムウンストラック――詩のスケッチブックから

仕事帰りの電車の中で三角みづ紀の詩を読んでいたら
左側のページの裏から若い女の立ちあがる気配がした
ようやく座れる、その程度のことがまるで恩寵のように感じられた

  誰かが石を投げてくるように思えるので
  表通りは避けて歩くのです
       (「ムウンストラック小詩集」から「序章」全文)

三角みづ紀の詩を抱き寄せ
体を半身に女の立ちあがる空間を作る
すれ違いざま網棚の鞄に右手を伸ばすと
真後ろから年老いた男の疲労が波立ち
目の前にできた女ひとり分の隙間に押し寄せる
呆然と見送る私をうかがうように見上げながら
男はそっと腰を落としてゆく

  鬼さんこちら
  手の鳴る方へ
  私を食べて下さい
  きれいに
  私を食べて下さい
       (前掲「第2.2章」部分)

左側のページの下から男の眼がのぞいている
その眼を満たし今にもあふれ出しそうな恐怖が
(なにを怯えているのだろう)
私をいらだたせる、激しく、冷たく

  誰かが石を投げてくるように思えるので
  表通りは避けて歩くのです
  こうしてひとり、いきている。
       (前掲「最終章」全文)

ムウンストラック・三角みづ紀
月(のような裸の尻)を叩かれた人は
いらだちの野茨の野に草隠れてゆく
その詩をいくど読み返しても
血をにじませた白い皮膚を見失うばかりだ
ページの向こうに広がる暗い荒れ野に
怯えた瞳が冴え冴えと吊り下げられている

三角みづ紀の「ムウンストラック小詩集」は中原中也賞受賞後第一作として『現代詩手帖』4月号に掲載されたものだ。思えば彼女が現代詩手帖賞を受賞したのは、ちょうど昨年の今ころのことだった。それまでは同誌「新人作品」欄の投稿者にすぎなかったのだが、三角は当時から常連の中でも群を抜いて注目度が高かった。受賞をきっかけに本格的にデビューを果たし、昨秋、上梓された第一詩集『オウバアキル』(思潮社)は中原中也賞を受賞、今でも詩書としてはトップセラーの1つである。

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コメント

初めまして。ブログ拝見させて頂きました。
突然ですがこちらの記事にトラックバックしている
「電車男 を読んだ感想 from 電車男」(AmazonアソシエイトID:nablog-22)は
この記事とは関係のないサイトであり色んなところでトラックバックスパム
している金儲け目的のサイトですので削除して欲しいと思います。
お手数だとは思いますがこのコメントも一緒に削除して下さい。ご返事も不要です。

投稿: トラックバックについて | 2006.03.12 02:11

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