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2005.07.09

とうとう四連チャン!13ページの7行目

とうとう四連チャンである。我ながら芸のないことだ、さすがにそう思う。ま、ともかく今日の13ページの7行目はこちら。

た言語で突破しようとして、日記を書き続けるような手先の動

『現代詩手帖』6月号(特集「境域の詩人たち――母語・母国語をめぐる旅」)から吉増剛造のインタビュー記事「書き尽くす手の力」(聞き手:堀内正規)の一行。最初に覚えた言語で「とにかく書き尽くしてしまおうという記述の運動」を、35年間、日記を綴るように重ねてきた、と吉増は自らの詩業を振り返る。ルビや同音異字を多用する吉増の最近の作品には、正直なところ、ちょっとついて行けない感じを持っていたが、「書き尽くす」と言われれば、なるほど、そういう方法もありだな、と思われた。

今回も6月号の読みどころを紹介しておこう。書店にはとっくのとうに7月号がお出ましだが大きめの図書館に行けば6月号も読めるはずだ。もちろん思潮社から取り寄せることもできる。

まずは恒川邦夫の編訳による「ルネ・ドゥペストル詩選」から「エルネスト・チェ・ゲバラ隊長の生と死に捧げる十月カンタータ――エルネスト・チェ・ゲバラの遺言」。カストロとともに中南米における社会主義革命運動を指導したゲバラへの力のこもった80行にも及ぶオマージュである。長谷川龍生の「毛沢東」を思いださせる。ことにこの3行がボクにはぐーっときた。

彼は我らに地上に一人でも
はずかしめられる者がいるかぎり
心安らかでなく、自らを叱咤する一人の男を遺す!

続いて伊藤比呂美の連載詩「河原ヲ語ル」の最終回「夏草は枯れました」。昨年10月号に掲載された「私たちは、母に連れられて」以来、8回に渡って楽しませてもらった長編詩もとうとう完結してしまった。焼き尽くされたはずの河原に夏草が満ち、以前と変わらぬ、いや、さらに濃厚な草いきれを発している。その深い力は希望などという薄っぺらな言葉で置き換えることはできない。少し長くなるが最終連の一部を引いておこう。単行本化が待ち望まれる。

私は荒れ地のまんなかに手足を放射状にひろげてうずくまった
そうして茎を伸ばした
茎の先端につぼみがうまれ
ふくらみ
ふくらみ
ひらいて
あらゆるものを吸い込んだ
茎は伸びつづけ
つぼみはつぎつぎにうまれ
ふくらみ
ひらいてしぼんだ
しぼんで赤くなった

最後に吉沢巴の「ヨドバシ」を紹介しておきたい。不勉強なことに初めて知る名の詩人であり、その作品に触れるのも恐らくは初めてのこと。だが、なんの違和感もなく、すんなり入ってくるものがある。この感じはどこかちょっと懐かしくさえある。

CD二枚目くらいで眠りに落ちた夜
夢の中でもエクセルで作表している私に
残業手当が支給されないのは何故か

最終連は身につまされて笑えた。そして少しだけ肩が軽くなった気がした。

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