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2005.08.03

2005年上半期を振りかえる―詩作篇(1)

8月!早いもので今年ももう6割ほど終わってしまった。そこで上半期を振返っておこうと思う。まずは詩作について。

上期は以下の3作品を発表した。とても寡作なボクとしてはかなりましなほうだろう。

ムウンストラック――詩のスケッチブックから
カルミア、明日は咲くか――詩のスケッチブックから
団欒

今日は先ず「詩のスケッチブックから」と添書きした2つの習作を再掲しておく。感想などコメントorトラックバックして頂けると嬉しい。かなり嬉しい。


ムウンストラック――詩のスケッチブックから

仕事帰りの電車の中で三角みづ紀の詩を読んでいたら
左側のページの裏から若い女の立ちあがる気配がした
ようやく座れる、その程度のことがまるで恩寵のように感じられた

  誰かが石を投げてくるように思えるので
  表通りは避けて歩くのです
       (「ムウンストラック小詩集」から「序章」全文)

三角みづ紀の詩を抱き寄せ
体を半身に女の立ちあがる空間を作る
すれ違いざま網棚の鞄に右手を伸ばすと
真後ろから年老いた男の疲労が波立ち
目の前にできた女ひとり分の隙間に押し寄せる
呆然と見送る私をうかがうように見上げながら
男はそっと腰を落としてゆく

  鬼さんこちら
  手の鳴る方へ
  私を食べて下さい
  きれいに
  私を食べて下さい
       (前掲「第2.2章」部分)

左側のページの下から男の眼がのぞいている
その眼を満たし今にもあふれ出しそうな恐怖が
(なにを怯えているのだろう)
私をいらだたせる、激しく、冷たく

  誰かが石を投げてくるように思えるので
  表通りは避けて歩くのです
  こうしてひとり、いきている。
       (前掲「最終章」全文)

ムウンストラック・三角みづ紀
月(のような裸の尻)を叩かれた人は
いらだちの野茨の野に草隠れてゆく
その詩をいくど読み返しても
血をにじませた白い皮膚を見失うばかりだ
ページの向こうに広がる暗い荒れ野に
怯えた瞳が冴え冴えと吊り下げられている

引用:三角みづ紀.ムウンストラック小詩集.現代詩手帖.2005年4月号


カルミア、明日は咲くか――詩のスケッチブックから

カルミア、明日は咲くか
と、思うと明日が待ち遠しい
そんな日々を重ねてきたが
カルミア、いよいよ明日咲くか
と、思うと
咲けば後は散るだけだから
もう散ってしまうだけだから
でもやっぱり、カルミア
咲かせたい、明日
咲きたい

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