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2007.10.17

天道虫

9月24日。駅前のデパートが改装されたからと妻に誘われるまま出かけてみる。通い慣れた駅までの道を並んで歩いていると、ふと道端のナナホシテントウに気づく。赤く丸い体に、やはり丸い黒斑が七つ。なんとなく愛嬌があり親しみが持てる。子供の頃はどこにでもいたけど近頃は余り見かけなくなったね――、そんなことを話しながら通り過ぎる。

デパートについたボクらは1階から最上階までひと通り見てまわり、たまたま開催されていた全国うまいもの展で夕飯用の惣菜とロールケーキを買って家路についた。休憩所が増えたとか、照明が明るくなったとか、他愛のないことを話しながら歩いていると、足元にナナホシテントウがいる。指先でつまみ上げ手のひらに乗せてみたが動かない。出かけたときにはチョロチョロと道を這っていたが力尽きてしまったようだ。

ナナホシテントウは出かけたときとは道の反対側にいた。恐らく飛ぶ力も残っていなかったのだろう、それでもこの二時間ほどの間に幅二メートル近いこの道を這い渡ったようだ。よく歩ききったものだな――、ボクはそっと道端の草陰にてんとう虫をおいた。そして何ごともなかったかのように歩き出す。通い慣れた道、休日の遅い午後、西に傾きかけた陽の光を浴び、相変わらず他愛のない話をしながら。

しかしボクの胸のうちには不安めいた問いがうずまいていたのだ。ボクらはいつまでこうして歩いてゆけるのだろうか、忍び寄る老いのいよいよ極まったときにボクらはあの天道虫のように歩ききることができるだろうか……。

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