« 2007年11月 | トップページ | 2008年1月 »

2007.12.26

映画『手紙』を観る

12月23日。TBSテレビで放映された映画『手紙』を観る。強盗殺人犯の弟としていわれのない差別に苦しむ青年の姿を描き出色の出来であった。敢えて難を言えば主演・山田孝之の演技がやや一本調子であったように感じられた。重く粘っこい演技は内容にそぐうものであり見ごたえがあったが、そのトーンがやや変化に乏しく時として暑苦しく思われることがあった。漫才シーンとのコントラストが見事だっただけにもうひと工夫が欲しかったが、もっとも、そのひと工夫が却って映画を壊してしまう可能性もあり、ないものねだりに過ぎないのかもしれない。いずれにせよ山田の演技が作品全体のトーンを支配していたように思われた。大した役者だ。

ベテラン、若手を問わず、脇役陣も素晴らしかった。強盗殺人を犯した兄を演じた玉山鉄二も被害者の息子を演じた吹越満もセリフは少ないが存在感があった。殊に山田と吹越の二人芝居による被害者と加害者の家族同士の対面シーンは強い印象を残した。また何かと話題の沢尻エリカも演技には確かなものがあると感じられた。世事に疎いボクは沢尻が非難される理由をよく知らないが、もし、この騒動のために映画界から消えてしまうようなことがあるとしたら、それは随分ともったいないことだと思う。



あまりにもスパムなトラックバックが多い為この記事についてはトラックバックを受付けないことに致しました。ご容赦下さい。

普段はトラックバックの少ない当ブログとしてはまったくもって異例のこと。ちょっと名前を挙げただけでこれですから、沢尻エリカ恐るべし、です。はい(汗)。

| | コメント (0)

2007.12.25

「ブログでつくる詩人名鑑」再開!

11月29日、約2年半ぶりに「ブログでつくる詩人名鑑」を再開。この1ヶ月ほどの間に井川博年さん四元康祐さん清岡卓行さんの三氏を追加。また「言葉の泉」というブログに四元さんの詩集『妻の右舷』(集英社)について、ろこさんが記事を書いていらっしゃったので協力をお願いしたところ、早速、トラックバックを頂いた。

名鑑の再開については以前から考えていたところだが、始めるとそれなりに手間もかかるため、ずるずると一日伸ばしてにしてきた。しかし雑誌『詩学』が廃刊されると聞き、背中を押される思いがして、ようやく再開に踏み切った。このままでは詩はウェブの上だけのものになりはしまいか、もしそうなったら明治以来の近現代詩の名作の数々が顧みられることもなくなってしまうのではないか、そんな危機感のようなものを感じたのだ。中学生の頃に詩を読み始めてから早いもので30数余年がたってしまった。これまで親しんできた詩の世界に少しでも恩返しができれば、そんなふうに思っている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.10

『四元康祐詩集』を読む

12月6日。『四元康祐詩集』(現代詩文庫、思潮社)を読む。この詩集は絶版から久しい処女詩集『笑うバグ』の全作品が収録されている。それだけでもファンにとっては貴重な一冊だが、加えて10年後の再デビュー作(?)『世界中年会議』(思潮社)、その後の華々しい活躍を飾った『噤みの午後』(思潮社)ならびに『ゴールデンアワー』(新潮社)の3つの詩集から選ばれた計34作品が収録されている。

これらの作品をまとめて読んでみると、その詩題の多彩さに驚かされる。子育てや会社生活といった日常的なものから、中原中也やダンテ、キーツといった詩人たち、また、これまで詩に取上げられることのなかった金融理論やマンガ、アニメといったものまで。四元の手にかかれば詩にならないものはないといった感さえある。四元は、その豊かな想像力と巧みな比喩力によって詩の領域を拡大しつつあるのだと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.04

『志ん朝の落語(5)』を読む

11月30日。『志ん朝の落語(5)―浮きつ沈みつ』(京須偕充・編、ちくま文庫)を読む。「火焔太鼓」や「へっつい幽霊」、「船徳」など、銭金や商売に関わる噺12作が収録されている。なかでもボクのお気に入りは「黄金餅」と「芝浜」。「黄金餅」は欲の皮の突っ張った男たちの姿を描き黒い笑いが堪能できる。「芝浜」は酒で身を持ち崩した男が妻のおかげで再起する人情話で、落ちが単に落ちであるだけでなく、男の心境を如実に表していてシミジミと良い。

「芝浜」はフジテレビのポッドキャスト『お台場寄席』で、志ん朝の師であり父である志ん生が演じたものを聴くことができる。また同じポッドキャストで配信されている立川談笑による改作「シャブ浜」も一聴の価値ありだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.12.03

肉体を駆り立てるもの

11月29日。待ちに待った井上雄彦の『リアル』7巻(集英社)の発売日。会社帰りにコンビニに立ち寄りさっそく電車の中で読んでみた。前巻は高橋と父親との葛藤を中心に静けさの中で精神のドラマが展開する趣きがあったが、7巻は強豪ドリームスとの再戦が中心になっており肉体の躍動する一冊となっている。ドリームスとの試合は劇的で、しかも更なる波乱への予感を感じさせる幕切れであった。次巻が待ち遠しい。

帰宅後、この日は同じ著者による『バガボンド』27巻(講談社)の発売日でもあったことを知る。翌日、やはり会社帰りに今度は別のコンビニに寄り購入。27巻は前巻に引続き吉岡一門との一乗寺下り松の戦いを描いている。たった一人で数十人を斬り続けてきた武蔵は肉体的にも精神的にも極限状態に陥る。その壮絶な戦いの果てに頭に浮かぶ小次郎の名。いよいよ対決の時が迫ってきたのだろうか。

以前、『リアル』を読んでいて「走りてぇ」と叫びたくなったと書いたことがあったが、この2作品には何か肉体のレベルでボクを駆り立てるものがあるように思われる。それは恐らく井上が、肉体のレベルから人を駆り立てる根源的な情熱というものの存在を描いているからなのだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年11月 | トップページ | 2008年1月 »