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2008.01.24

映画『殯の森』を観る

1月20日。映画『殯の森』を観る。カンヌで審査員特別大賞を受賞したこともあって、ぜひ観てみたいと思っていた作品だ。偶然、NHKのBS2で放映されることを知り録画しておいたものを妻と二人で観た。

オープニングから緑の森の存在感に圧倒される。吸い込まれてゆきそうな深い緑だ。物語はこの森を舞台に展開される。森と茶畑に囲まれたグループホーム・ほととぎすに暮らす認知症の男・しげきと新任の介護福祉士・真千子。二人は共に近親者を失い、その喪失感を抱えながら生きてきた。よく晴れた夏の日のこと、真千子は亡妻の墓参りを望むしげきを墓があるという森に連れてゆく。突然の雷雨もあって二人は森の奥深く迷い込んでゆく。

「殯」とは本葬の前に死者との別れを惜しむ場所であるという。古代日本では貴人が亡くなった際に殯の宮を築き祭祀を執り行う習慣があったそうだ。しげきと真千子の二人は深い森の奥で、改めて死者と向き合い殯の時を過ごしたのだろう。殯は死者を悼むと共に残された者の悲苦を癒し、新たな人生への旅立ちを促すものだろう。監督・河瀬直美が描く森はそうした殯を可能とするような神秘的な力を感じさせるものだった。


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» mini review 07265「殯(もがり)の森」★★★★★★★☆☆☆ [サーカスな日々]
『萌の朱雀(もえのすざく)』でカンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞し、世界中から注目されている河瀬直美監督の最新作。監督自身の故郷である奈良を舞台に、人間の生と死を描く人間ドラマ。役者初挑戦のうだしげきが、妻を亡くし、心の空白をうめようと懸命に生きる男を熱演。介護福祉士として、彼と心の交流をかわす真千子に『萌の朱雀(もえのすざく)』でも河野作品に出演している尾野真千子が透明感ある演技でみせる。奈良の山間部の美しい風景が心にしみる珠玉の名作。[もっと詳しく] 「こうしゃんなあかんってこと、ないから... [続きを読む]

受信: 2008.01.28 18:30

» 【殯の森】についての検索結果をリンク集にして… [あらかじめサーチ!]
殯の森 に関する検索結果をマッシュアップして1ページにまとめておきます… [続きを読む]

受信: 2008.01.29 23:55

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