薬王院へ行く
5月1日。下落合の薬王院を訪ねる。義母のことがあってから家にこもりがちな義父を外に連れ出そうと、妻が義父を誘い三人で行ってみることにしたのだ。
薬王院は真言宗豊山派の寺で東長谷寺とも呼ばれる。豊山派の総本山である京都の長谷寺から牡丹100株を譲り受け、今では1000株に及ぶ牡丹が植えられているという。今年は暖かい日が多かったせいか、例年より花の咲きだしが早く、既に見ごろを一週間ほど過ぎてしまっているとのことだった。それでも牡丹の花の美しさを十分に楽しむことができたのは、それほどに多種多数の牡丹が植えられているからだ。
牡丹園父と娘と腕組んで 矮猫
牡丹は元来、薬用として栽培されていたそうだ。しかし、花が大柄で花形も花色も多彩なことから園芸植物としても親しまれるようになり、唐代以来、百花の王と珍重されてきた。俳句の世界でも初夏の季題としてしばしば取り上げられている。
白牡丹といふといへども紅ほのか 高浜虚子
牡丹花の眠るが如き入日かな 上田敏
夕牡丹しずかに靄を加えけり 水原秋桜子
牡丹は大柄で豪華な花ながら押しつけがましいところがなく、優美な官能性、おっとりとした印象を与える。ここに挙げた句もそのような牡丹の風情を感じさせるものだ。
薬王院は本堂こそ近年になって建て直されたものだが、古い石仏や石碑も多数あり、古寺の趣きを保っている。隣接する野鳥公園も訪れたが、小さな池の周りにモミジやミズナラなど多数の樹木が植えられており、静けさと新緑を満喫することができた。
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