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2008.07.23

矮猫亭・2003年4~6月

古い日記の再掲載、今回は2003年4~6月。相変わらず詩と俳句、そして映画の日々が続いている。
5/30の創作ノートにに登場した「男はいつも間違った場所にいた……」はその後、「迷途」という作品に仕上がった。また5/19に登場している「十二月が生まれたのはどこだろう……」も「冬納め、あるいは虐殺の予兆に関する記録」につながる源流の一つとなった。今にして思えばそれなりに実りの多い日々だったと思う。

なお、いつものことながらリンク切れについてはリンクを削除しました。ご容赦下さい。


屋形舟 2003/04/02

咲き初むる花を脇目に屋形船

先日、職場の仲間と屋形船に乗りました。私としては生まれて初めてのことでした。両岸の桜をめでながら、隅田川を上り下りおいしい料理と酒、他愛なくも愉快な話を楽しみました。幹事さん、ありがとう、の心を込めた一句です。


新入社員 2003/04/07

春の虹新入社員のシャツ白し

もうかれこれ20年近く前には、自分も新入社員だったのですねぇ。あの頃、何を考え、どう行動していたか、思い出すと恥ずかしくなります。悔いのない仕事人生を、なんてキレイゴトは、私には言えません。振返って悔いることがあっても良いではないですか。まぁ、思い切っていきましょうや、何はともあれ。


すみれも咲きます 2003/04/09

つつましう暮らしてこそや菫草

桜の咲き乱れる季節はついつい視線が上向に気持ちもなんだか浮かれてしまいます。それでは足元に咲く清楚なすみれを見損なう。それどころか踏みつけて台無しにもしかねない。いくさに心奪われている方々にも知っておいて欲しいことです。


葉桜 2003/04/16

葉桜や仰ぎつ過ぐる乳母車

オフィスの窓から見える桜はもうすっかり緑一色です。日も永くなり、日差しもずいぶん強くなってきました。桜の下を通り過ぎた乳母車と若いお母さん。仰ぎ見ていたのは、葉桜でしょうか、青空でしょうか。初夏の兆しを強く感じさせるできごとでした。


久しぶりにリンクを追加しました 2003/04/18

リンク棚に現代詩フォーラムを追加しました。お勧めです。見てみてね。


病中三句 2003/05/12

五月闇点滴瓶のほの明かし
病室にも黄金週間野球帽
熱癒えて庭に咲き出ずハルジオン

今更の感もありますが、ゴールデンウィークは如何でしたか。私は腎盂腎炎をやらかしまして、ひたすら養生の10日間でした。入院にこそ至りませんでしたが、前半は日に2度の通院点滴。今も抗菌剤を内服中です。健康の有難味をつくづく思い知らされました。


ツバメもカビも初夏らしく 2003/05/15

初燕天衣無縫という語あり
しまい湯や黴の香ほのか我が家かな

昨日、職場の廊下の窓からツバメが飛ぶ姿を見ました。ツバメを見たのは今年初めてのことです。身ごなしよく、自由自在に飛び回る姿に「天衣無縫」なんて言葉もあったなと思いました。なんか、うらやましいなぁ。「しまい湯」の方は旧作を改めたものです。旅から戻ると風呂場の黴の匂いさえ懐かしくやっぱり我が家はいいなぁと、そんな句です。


12月はここまで来ました――創作ノートより 2003/05/19

十二月が生まれたのはどこだろう
そして死ぬのは

去年今年貫く棒を抱いて夜更けの道を急ぐ
百八回目の鐘音がもの惜しげに立ち去る

錆びくさい飢えと渇きを口元に凍てつかせ
冬眠の禁じられた森に見えない獣たちが満ちてゆく

真裸の木立を吹きぬける風は
見慣れぬ罪の形に引裂かれたままだ

湧きあがる泉が薄氷を砕く音
冬納めの日まで絶えることのない響き

泉読みの老婆の微かな唇の動きを
私は盗もうとしている

火箭 西から東へと闇空を渡る
偽りは全て焼きつくされるだろう

十二月は葬送曲を必要としない
再臨は既に予定されている

間に合うのだろうか
既に祭壇に生贄は繋がれた


ひさ~しぶりに創作ノートから。2月にお目見えしたネタですが3ヶ月かかってようやくここまで来ました。この後どこに行くのかは未だ見えません。う~む。


創作ノートから 2003/05/26

男が首をかしげたまま自分の指の皮を剥いている。
高校の制服らしきものを着ているが
その年代らしい尖った生気が感じられない。

駅で見かけた風景をスケッチしたものです。ただのスケッチですが、どこかで使えるかも、と感じています。


遅ればせながら 2003/05/27

昨日の地震、大きかったですね。皆さま、ご無事だったでしょうか。被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。さて、もう2003年も5ヶ月が過ぎようとしていますが昨年1年間の作品をまとめた2002年のことばしごとを公開しました。是非ご覧になってみて下さい。(このリンクは「リンク棚」にも置いてあります)尚、PDFファイルですので、ご覧になるにはAcrobat Readerが必要です。Acrobat ReaderはAdobe社のサイトで入手できます。


間違った場所――創作ノートより 2003/05/30

男はいつも間違った場所にいた。間違った道を間違った方角へ間違った歩き方で歩いていた。思いがけず三叉路に出くわし驚かされることもしょっちゅうだった。出くわせば必ず思っているのとは逆の方に進んでしまう。まれには選んだ通りに足を運べることもあったが、そんなときは、いつも、そもそも間違った方を選んでしまっていた。

いま動かそうとしているもう一つのネタです。こちらは散文詩にしようと思っています。


猫が!――創作ノートより 2003/05/30

いつからだろう。男はいつも間違った場所にいた。間違った道を間違った方向に間違った歩き方で歩いていた。だから思いもかけない三叉路に出くわし、驚かされることもしょっちゅうだった。出くわせば必ず自分の考えとは逆の方に進んでしまう。まれには思った通りに足を運べることもあったが、そんなときはそもそも間違った道を選んでしまっている。もうどこにも出口はなかった。

ある朝、男は珍しく車で出かけた。思えばこれもまた別の誤りの始まりであった。過剰な速度がいつもの間違いを加速し、あっというまに見知らぬ土地へと男を連れ去った。男は途方にくれた。どこにでもあるような、これといった特徴もない住宅街をのろのろとさまよった。ちょうど下校の時刻なのだろうか。ランドセルをしょった子どもたちが怪訝そうにこちらを見ている。その視線に気をとられた瞬間、仔猫が車の前を横切った。

男はとっさにアクセルを踏んだ。ブレーキを踏むつもりで間違えたのか、それとも誤った判断の通りに足が動いたのか、それは彼自身にも分からなかった。ミラーの中で仔猫が二、三度大きく跳ねた。それきり動かなくなった。先に道を渡り終えていた母猫が仔猫の元に戻ってきた。しばらく仔猫の耳や背を舐めていたが、一向に目覚める気配もなく、とうとう諦めて去って行った。


昨日ご紹介したネタはここまで来ました。思いがけず猫ひいちゃったりして、この後、どうしよう。


まだ推敲中ですが 2003/06/04

梅雨鬱し鴉多きを訝しむ

季語がねぇ、ちょっとねぇ、なんとなくいまひとつ。「いぶかしむ」っていうのも直截すぎて面白くない。う~む、う~む、と悩むのも楽しみのうちです。


結局「黴」にしました 2003/06/05

黴の宿鴉多きを訝しむ

結局、上五は「黴の宿」としました。梅雨時の旅。投宿先は古ぼけた黴臭い宿。しかも鴉が多いとなると、何とも怪しく鬱陶しい。そんな句です。


リンク棚に「C-Direct-2U」を追加しました 2003/06/09

まぐまぐの同名メルマガ(毎週月曜日発行)のサイトです。このメルマガは近代詩の名作や読者の投稿詩等を配信するものでサイトにはバックナンバが作者別に整理されています。編集者さんのコメントも素晴らしいです。


変な夢を見ました 2003/06/11

みょ~な夢を見ました。

大巨人アンドレ・ザ・ジャイアント(プロレスラー、為念)を招聘しようという夢です。もちろんアンドレは故人ですが、夢の中ではフランスの山奥で優雅に暮らしている。アンドレを呼ぶならジャイアント馬場さんに会わせてあげなきゃ。と、いう話になったのですが、さすがに夢の中とはいえ馬場さんは亡くなっている。じゃぁ、どうするかというと、関根勤にモノマネしてもらおうということに。絶対にばれないよ、と、大笑いしているところで目が醒めました。

いったいなんだったんでしょう。この夢を見ている間、私の脳は何をしていたんだろう。


ちょっと常陸へ 2003/06/13

昨日はちょっと早起きして茨城県のけっこう北の方へまで出張にでかけました。雨の中、大荷物を持って、鬱陶しいなぁと思っていたのですがいざ特急に乗ってしまうと次第に田園風景が広がり、とてもリラックス気分。田んぼの多いところで生まれ育ったせいか、田んぼを見るのが好きなんですよねぇ。

水戸の辺りだったでしょうか。線路沿いの通学路を小学生が一列になって歩いていました。

通学路連なる傘はみな黄色

車窓から景色を見ているだけでも、やっぱり旅は楽しいですね(仕事でなければ、なおのことでしょうが)。


リンク棚に「Poetry Resources」を追加しました 2003/06/16

初の英文サイトへのリンクです。相互リンクのご依頼を頂き加える事にしました。(オーナーさんは日本語が読めるのでしょうか?)


ただいま推敲中 2003/06/18

通学路の句ですが、いまひとつ小学生の可愛らしさが感じられないと思い推敲中です。

通学路連なる黄傘数えけり

と、してみたのですが、どうでしょう。いやいや、まだまだ悩む余地がありそうです。


たどたどし、としてみました 2003/06/20

通学路黄傘連ねてたどたどし

あれこれいじくってみましたがようやく「たどたどし」に落着きました。如何でしょう?


2003年上半期を振返る(ことばしごと編) 2003/06/24

早いもので、もう1週間もすると今年も半分終わりです。そこで上半期を振り返ってみることにしました。先ずは創作活動から。

上半期は俳句が13句。週に1句くらいのペースでいけるかなと思っていましたが大体その半分ですね。詩のほうは、情けない話、未だ1作もできていません。ただ、寝かせてあるものも含めて、仕掛かり中のものが4つありますので年末までには完成品を幾つかご披露できるのではないかと思います。

    2003年上半期 全句作

流感や早退けの背に陽のそそぐ
いじめ子もいじめられ子も雛の前
咲き初むる花を脇目に屋形船
春の虹新入社員のシャツ白し
つつましう暮らしてこそや菫草
葉桜や仰ぎつ過ぐる乳母車
五月闇点滴瓶のほの明かし
病室にも黄金週間野球帽
熱癒えて庭に咲き出ずハルジオン
初燕天衣無縫という語あり
しまい湯や黴の香ほのか我が家かな
黴の宿鴉多きを訝しむ
通学路黄傘を連ねたどたどし


2003年上半期を振返る(映画編) 2003/06/25

今日は今年上半期に見た映画を振り返ってみたいと思います。

フレンチ・キス (1995/米)
少林サッカー (2001/香港)
ハンニバル (2001/米)
バック・トゥ・ザ・フューチャー (1985/米)
TAXi (1997/仏)
シェーン (1953/米)
Laundry (2002/日)
少年時代 (1990/日)
真夏の夜の夢 (1999/英=伊)
ウォーターボーイズ (2001/日)

6ヶ月で10本は私としては悪くないペースですが、全てビデオかテレビ。映画館にはただの一度も足を運んでいません。情けないなぁ。

ここからベスト1を選ぶとすると、なんと言っても「シェーン」。とにかく面白い。かっこいい。情感もたっぷり。ゆったりと、おおらかな作りで、古き良きマンネリズムを感じました。下半期は、どんな映画と出会えるのでしょう。楽しみ、楽しみ。


2003年上半期を振返る(読書編) 2003/06/27
最後に読書編です。今年上半期に読んだ本は16冊。その他に毎月欠かさず「現代詩手帖」を読んでいますので自分としては、まぁ悪くないペースです。この6ヶ月は良い出会いに恵まれ、印象に残っている本が多い。その中からベスト3を選んでみましょう。

辻井喬.伝統の創造力.岩波新書.岩波書店.2001
國文學編集部.俳句創作鑑賞ハンドブック.國文學.第29巻16号改装版.1988
本間祐(編).超短編アンソロジー.ちくま文庫.筑摩書房.2002

「伝統の創造力」は以前ご紹介しましたね。「俳句創作鑑賞ハンドブック」は私のような初学者には大変勉強になります。最後の「超短編アンソロジー」は散文詩の勉強にと読んだのですが勉強を忘れて読み入ってしまいました。面白かったです。

さて、振返りはこんなところにしておきましょう。来週火曜からの後半戦にどう臨むか。この週末にじっくり考えたいと思います。


芝刈り雑感 2003/06/30

芝刈り機の音は軍用ヘリの音に似ている。庭の芝を刈りながら、そんなことを思っていた。『地獄の黙示録』で見た黒いヘリコプター。機銃掃射、ナパーム弾。高校生の頃のことだ。また、その頃の友人の一言を思い出した。戦争は必要悪だ。戦争がなければ人口過剰で人類は滅亡する。

私が庭の芝を刈るのは芝を枯らさないためだが刈られる芝にとって本当に必要なことなのだろうか。炎天下に芝を刈る。汗を流しながら。機銃掃射のように。

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