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2008.07.28

『稲森和夫の実学』を読む

7月18日。『稲森和夫の実学―経営と会計』(日経ビジネス人文庫.2000)を読む。久しぶりのビジネス書である。会社の同僚から薦められて読んでみたものだ。

稲盛和夫は言わずと知れた京セラの創業者。アメーバ経営などの独自の経営手法で知られるが会計についても一家言ありだ。技術畑の出身ながら自らの経営観に即した独自の管理会計を編み出し、経営の柱の一つとしたのである。稲盛は自らの経験に即して会計に関する7つの原則を挙げている。

・本質追求の原則
・キャッシュベース経営の原則
・一対一対応の原則
・筋肉質経営の原則
・完璧主義の原則
・ダブルチェックの原則
・採算向上の原則
・ガラス張り経営の原則

これらの原則の根底に流れているのは、正しいことを正しく行うという、極めて当たり前のことでありながら、いざ実践となると難しいことを徹底する姿勢である。例えば製造業では一般的な標準原価計算を稲盛は採用しない。それは自分が目指す経営には標準原価計算は役に立たないと考えているからだ。専門家の常識はどうあれ、自分の経営観と合致した、正しいことを行う。こうした姿勢は、法定耐用年数ではなく実際の耐用年数に従って有税償却を行ったり、売れ残り在庫の資産価値を無価値と評価したり(「セラミック石ころ論」)と、随所に貫かれている。また実施についても「完璧主義の原則」や「ダブルチェックの原則」に見られるように正しく行うことへの強いこだわりが示されている。
原理原則に則って物事の本質を追求して、人間として何が正しいかで判断する

「お金の動き」に焦点をあてて、物事の本質にもとづいたシンプルな経営を行う

経営者が自分や企業を実力以上によく見せようという誘惑に打ち克つ強い意思を持たなければならない。


稲盛はこうした正しさの追求、原理原則と物事の本質の追求は先ず経営者が自らに課すべきだとしている。そこには経営者たるものという自負と、その自負に裏付けられたストイシズム、稲盛の経営思想の強度が感じられる。しかし、企業が組織として正しいことを正しく行ってゆくことは、もちろん経営者一人の想いの強さだけでは実現できないことだ。稲盛は、厳しく自らを律し原理原則に徹する姿勢を社員にも求めるとともに、社員がそこから逸脱してしまわないようにするための仕組みを構築する。
人の心をベースにして経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守るという思いも必要である。

稲盛の強い信念の背後にある社員に対する愛情を感じさせる言葉だ。稲盛からすればこれも経営者たるものが持っていて当たり前のものなのだろう。原理原則を貫く姿勢、その背後にある社業への情熱と社員への愛と信頼。経営者たるものにとって当たり前のはずのことを見失っている者が余りにも多すぎると感じるのはボクだけだろうか。

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コメント

ベトナムについてのブログを書いています。
TBさせていただきました。
有難うございます。

投稿: ベトナム大好き | 2008.08.02 14:39

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