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2009.08.06

花火の想い出(3)

清水哲男の『新・増殖する俳句歳時記』から。

遠花火この家を出し姉妹 阿波野青畝

お盆で帰省しきた娘たちと縁側から遠くに見える花火を眺めている。再会に浮き立つ気持ちとすぐにまた送り出さなければならない切なさ、すっかり大人らしくなった娘たちの成長を歓ぶ気持ちと子育てが終わったことを改めて思い知らされる寂しさ、複雑な想いが交錯する親の心情がありありと伝わってくる。それも上五の「遠花火」が効いているからだろう。

所沢に越してきたばかりの頃は家から西武園遊園地の花火が見えるのが嬉しくて、週末の度にベランダにテーブルを持ち出して夕食をとりながら花火を見たものだ。当時はまだ豊島園も花火を上げていて西武園の花火が終わると反対側の夜空をみつめ遠くに小さく見える花火に余韻を楽しんだものだ。

人帰る花火のあとの暗さかな 正岡子規
潔よく花火は空に消ゆるなり 竹久夢二

いずれも村石利夫『検索名句秀句』(小学館文庫、2002)から。花火が終わると夜が更けて辺りが暗くなっていることに急に気づかされる。そのせいか花火のあとは何となく淋しく心細い。息子が18歳になった今、子育てもちょっと似ている気がしている。かといって花火のように潔く消えるわけにはいかない。

ところで今夜は息子と二人で留守番である。妻は友だちに誘われて神宮外苑の花火大会に出かけるというのだ。もっとも添え物のはずのゲストの歌がお目当てのようだが……。

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