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2009.09.07

逢いたいね

2日の「読売俳壇」といえばこんな句もあった。

風涼し働き者の母が好き 杉戸乃ぼる

選者・宇多喜代子の記した通り、ただ「同感」の一語である。母親が元気に立ち働く姿ほど頼もしいものはない。そんな母に無性に逢いたくなる。本作がこうした素朴な共感を呼ぶのは平易で率直な表現によるところが大きいが音韻的な工夫も見逃せない。頭韻を含むア行音の多用が生き生きと元気な感じを、また脚韻を含むイ行音によるアクセントが歯切れのよさをもたらしている。
今ひとたび逢ひたきものは雨の駅にわれを見つけし夫のほほ笑み 山本孝子

『大法輪』九月号の「短歌」コーナーから。ツレアイを失うということはこういうことなのだろうか。自分のこととしては未だ想像もできないが、しみじみと胸に迫るものがある。
吾亦紅百年だって待つのにな 室田洋子

清水哲男『新・増殖する俳句歳時記』から。「百年だって待つのにな」とは、百年どころか、いくら待っても二度と逢えないことを熟知している者ならではの言葉だ。そんな想いを抱かせる逢えない人がいることは存外しあわせなことなのか、それともやはり不幸せなことなのか。とにもかくにも逢いたいなぁ、もう一度、一度だけでいから逢いたいなぁ……って誰に?

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