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2009.12.17

毛糸のある風景

久しぶりに清水哲男『新・増殖する俳句歳時記』から。

毛糸編む母の周りに集まりぬ 後閑達雄

今年は秋になっても冬になっても毛糸を編む女性の姿を一向に見かけない。今どき手編みは流行らないのだろうか。勉強や仕事はおろか遊びにすら追い立てられるような昨今のご時勢、そんな牧歌的な風景を期待するほうが無理ということか。とはいえ余りにせわしなく余裕のない母であっては子ども達も寄り付かないだろう。
こぎつねは手袋を買ひに子は膝に 山根今日子

『NHK俳壇』(2009/12/6)から。選者は西村和子。子どもを膝に抱いて新美南吉の童話「手袋を買いに」を読み聞かせているところであろう。物語の世界と現実の風景が一つに溶けあって母の情愛がほのぼのと伝わってくる。同じ日の選句、小塚雨水の「手袋の中ににぎらすおつりかな」もしみじみと良い。ここに詠まれた子どもの手袋も毛糸それも手編みであって欲しい。フリースでは少々情緒に欠けるのだ。

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