« 浅草で幇間芸を楽しむ | トップページ | 春塵に立つ(2) »

2010.03.21

春塵に立つ(1)

久しぶりに『ハンディ版・入門歳時記』から。

春塵に残されて立つ夢を捨て 山上樹実雄

春風に土埃の舞うこの時期は若者たちが旅立つ季節でもある。しかし夢を追って都会に向かう者ばかりが若者ではない。諸々の事情に夢を諦め故郷に留まる者も少なくないのだ。この句にはそんな若者の無念と一縷の矜持が感じられる。

ところで昨日は息子の卒業式。制服すらない自由な校風の男子高で殆どがスーツ姿。それも流行りのブラック・細身・短丈が多く、なんだか高校生というよりホストの集団みたいだった。それでも式が始まるとそれなりに引き締まった雰囲気を醸し出していたが、参加者の注目が集まる卒業証書拝領の際には一転。実験用の白衣姿で登壇する者や壇上で「お約束」ギャグを披露する者などが続出した。そんな無邪気な息子たちを三年間あたたかく見守って下さった先生方にはただただ感謝である。

運命は笑ひ待ちをり卒業す 高浜虚子

『新・増殖する俳句歳時記』から。希望に胸ふくらませる卒業生たちに贈るには少々冷笑的に過ぎるだろうか。だが、それもまた現実というものだ。若者たちよ、現実から逃げるな。運命を笑い返してやれ。

|

« 浅草で幇間芸を楽しむ | トップページ | 春塵に立つ(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30439/47886972

この記事へのトラックバック一覧です: 春塵に立つ(1):

« 浅草で幇間芸を楽しむ | トップページ | 春塵に立つ(2) »