2月14日。シカゴ・オヘア空港を発ち成田に向かう。腕時計を午前1時に合わせ食事を待つ。機内では到着地の時刻に見合った過ごし方をするのがボクの時差対策。もっともおまじないのようなもので効果があるのかどうかは分からない。いずれにせよ、この瞬間、14日が終わり15日が始まった。
今回はわずか5日ばかりの出張だったが妙に気疲れした。仕事そのものは順調に進んだが気候が過酷だった。シカゴの冬は寒いとは聞いていたが、ここ十年来の大寒波に見舞われ現地の人すら辟易するほどだった。そそくさと食事をすませ眠りにつく。秋田の地酒・雪の茅舎のおかげもあってすぐに寝つくことができた。
午前7時。4時間ほど眠ったところで目が覚める。もう一眠りしようかと迷ったが、ここでひと頑張りすれば帰ってから時差ボケに悩まされずに済むかもしれないと、眠気覚ましにコーヒーを貰い映画を観ることにした。それも立て続けに5本……。
『喜劇・駅前弁当』(日・1961)
……ご存じモリシゲ(森繁久彌)・バンジュン(伴淳三郎)の名コンビによる駅前シリーズの第3作。その他にもフランキー堺や花菱アチャコ、柳家金語楼、 坂本九といった懐かしい顔の数々が嬉しい。高度成長を迎えたばかりの日本の明るく浮ついた雰囲気を伝える一作だ。
『炎のランナー』(英・1981)
……ボクはどうもイギリス映画が苦手らしい。名作の誉れ高い本作だが、初めて観たときと同様、途中で少々飽きてしまった。何かを賭して走るというテーマがどうもボクにはピンとこないようだ。あるいはユダヤ人差別やキリスト教信仰への理解が不足しているのだろうか。いずれにしてもヴァンゲリスによる主題曲と青年たちが海辺を走るシーンの美しさが印象に残るばかりだ。
『象の背中』(日・2007)
……う~ん、こちらもちょっと入り込み切れなかったなぁ。というのも男にとって虫のよすぎる話だと思われ興ざめしてしまったのだ。自業自得といわざるを得ない病いにも拘らず家族は献身的に看護してくれる。それでも飽き足らずホスピスに愛人を呼び寄せるが悶着の起こる気配さえない、等々。多少なりとも人生の終幕を意識し始める中年男向けのファンタジーという気がした。
『理由なき反抗』(米・1955)
……こちらもご存じジェームス・ディーンの代表作。初主演の『エデンの東』(米・1955)
といい本作といい、繊細で跳ねっかえりな青年を演じさせたらジミーの右に出る人はいない。主演映画わずか2本で永遠のアイドルとなっただけのことはある。ジミーの魅力もさることながら本作は映画としてもなかなか好きな作品だ。なんど見ても飽きない一本だ。
『オリヲン座からの招待状』(日・2007)……こちらは古きよき時代の映画、映画館へのオマージュという感じですね。バンツマこと阪東妻三郎の『無法松の一生』
の映像が何度も使用されていて、これがまた古い映画が好きなものにとっては何ともたまらない。ストーリーも無法松を髣髴とさせるものだが、そのことを隠すどころかむしろ無法松と二重映しになるように工夫されており面白かった。
新旧、和洋、取り混ぜて一気に5本も映画が見られるとは贅沢なこと限りない。出張の疲れも吹き飛び後は成田への到着を待つばかりだ。