8月3日、家族で上野へ出かける。今年は夏休みを3~6日と11~14日の2回に分けて取ることにした。今日はその初日。以前なら夏休みといえば家族で旅行に出かけたものだが、息子も高校生になり部活やらなにやら夏休みも忙しかろうと、今年は旅行はやめにした。とはいえ折角の夏休み、どこか行きたいところはないかと尋ねたところ、息子は美術館に行きってみたいと言う。ボクとツレアイにとって美術館は学生時代の定番デートコースだったし、結婚した後も息子が生まれるまではしばしば足を運んでいた。だから久しぶりに美術館を訪ねることが出来るのは大歓迎……ではあるが、ボクとしては寄席に行きたい気持ちもあり、上野の国立西洋美術館から鈴本演芸場に向かう少々ユニークなコースを巡ることにした。
国立西洋美術館は「パルマ―イタリア美術、もう1つの都」展が開催されていたが、特にイタリア美術に興味があるわけでもないので常設展とロマネスク美術写真展を観た。膨大な松方コレクションがベースになっているだけあって常設展だけでも十分に見ごたえがある。特にロダンやモネの作品が多いところが嬉しい。他にはドルチの「悲しみの聖母」やグレコの「十字架のキリスト」、エルンストの「石化した森」といったところがボクのお気に入り。息子はもっと古い作品が好みらしく、中世から17~18世紀の絵画やロマネスク美術写真展の写真にじっと見入っていた。
美術館から鈴本までは普通に歩いて15分程度。開場までまだだいぶ間があるので、西郷さんの銅像を見たり清水観音をお参りしたりと上野の山をぶらつき、山の向こうの不忍池まで足を伸ばすことにした。不忍池は丈高い蓮の葉が一面に生い茂り、ところどころに薄ピンクの大きな花が咲いて、都会のオアシスというよりも生々しく力強い生命力、野生を思わせる景色だった。折から開催されていた骨董市をひやかしながら半周ほど池の周りを散歩して鈴本に向かう。途中のコンビニでパンやおむすび、スナック菓子やお茶(ボクはワンカップの日本酒)を買い込み、開場と同時に中に入る。
そこから先は別世界。太神楽(曲芸)に漫才、奇術に落語。浮世を忘れ、ひたすら笑い、芸を楽しんでいるうちに時は過ぎ、あっという間の3時間だった。これで御代は2800円というのだから寄席は安いものだ。さて、この日、聞いた落語ではなんといってもトリの橘家文左衛門が演じた「らくだ」が素晴らしかった。大ネタである上、登場人物のクセが強く、しかも話の展開につれて立場が逆転するようなシーンもあり、高度な演技力が求められる噺だと思うが、文左衛門はしっかりと演じきっていた。その他には古今亭菊志んの「寄合酒」や桂藤兵衛の「へっつい幽霊」が面白かった。
美術館に寄席、こんな取り合わせが気取らずに自然に楽しめるところが上野のよさであろうか。それにしても、こんな取り合わせをすっかり楽しめるようになるとは我が息子も随分と成長したものだ。
最近のコメント