2011.05.08

二代目・広沢虎造『忠治・赤城落ち』を聴く

二代目・広沢虎造『忠治・赤城落ち』(テイチク、1997)を聴く。落語ブームと言われるようになってから既に何年か経った。しかし同じ古典的大衆芸能でありながら浪曲や講談は依然、お笑いほどには光が当たらないままだ。残念なことである。

さて二代目・虎造といえば『清水次郎長伝』シリーズが有名だが今日は敢えて国定忠治を選んでみた。恩義のある叔父を殺すよう命じられ苦悩する浅太郎。その慄きを察しながらも毅然と振舞い、最後まで甥の身を案じ続けた勘助。そして突然に父親を奪われた、いとけない勘太郎。『忠治・赤城落ち』は不条理な命運にみまわれた人間の姿をリアルに描いたボクのお気に入りなのだ。

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2011.05.03

7時間、笑いつづけ

久しぶりに寄席に行く。浅草演芸ホールだ。昼席を口あけから6時間すっかり平らげた上、夕立に降りこめられたせいもあって、夜の部も1時間ほど居続けた。

昼席は、川柳川柳橘家圓蔵鈴々舎馬風など、プログラムに名前を見ただけでウキウキさせられるベテラン勢が元気なところを見せ嬉しかった。ショックだったのは、あした順子が一人で出演していたこと。相方のひろしは病気療養中だそうだで、順子はうまく前座をイジって爆笑を誘い、芸歴半世紀を上回る貫禄を見せつけたが、ぜひ再び二人で舞台に立ってほしいものだ。

一方、大きな名前を継いだ林家三平や林家木久蔵が例によって先代(=父親)をしつこくネタにしたのには、こればっかりでもなぁ、と思わせられたが、もっとも三遊亭小円歌もいつものように師匠・圓歌で笑いを稼ぎ、またトリを務めた林家木久扇も得意の「林家彦六伝」を演じたことからすると、実は「昭和」礼讃が本席の主任を務めた木久扇の狙いであったのかもしれない。

夜の部は我が隣町・東村山出身の柳亭こみちを始めボクのお気に入りが続く。いったんはホールを出ようとしたものの諦めきれず、激しい雨が降り出したのを口実に居続けることにした。脱力感が魅力と自称する柳家喜多八(でも噺に入ると意外に疾走感があると思う)、これこそ寄席でしか見られない寄席芸の極みぺぺ桜井(ギター漫談)、と1時間ほど楽しんだところで、いつまでもキリがないと妻に諭され渋々ながら帰ることにした。本当は昭和のいる・こいるも見たかったのだけど、だいぶ腹も減っていたし笑い疲れも出始めて、その辺りがちょうど頃合いだったかもしれない。

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2010.06.08

川柳川柳『寄席爆笑王ガーコン落語一代』を読む

川柳川柳(かわやなぎ・せんりゅう)『寄席爆笑王ガーコン落語一代』(河出文庫、2009)を読む。破天荒な落語家として知られる川柳川柳の半生記。往時の世相や落語界の動向が鮮明に描かれており、波乱万丈の個人史であると同時に庶民の昭和史、戦後落語史としても楽しめる一冊。また通常、寄席でしか聴けない「川柳のヰタ・セクスアリス」や「間男アラカルト」といった艶噺しも収録されている。

この一冊ばかりは、ぜひ寄席で或いはCDででも川柳の落語を聴いてから読んで欲しいと思う。行間から立ち上がる川柳の語り口、歌声とともに読めば二倍も三倍も楽しめるというものだ。

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2010.05.24

志らく・談笑二人会を観る

昨日は久しぶりにナマで落語を聴いた。「立川流 志らく・談笑二人会」(さいたま市民会館おおみや)である。

先ずは前座、立川らく兵が志らくの弟子らしくオーソドックスに「子ほめ」を演じ客席を暖める。続く立川談笑は「蝦蟇の油」を熱演。聴き所の売り口上はスペイン語でやってのけた。「血止めはないか」という本来のサゲを早めに繰り出し、一体どう落とすのだろうと思っていると最後は「糸と針はないか」まで暴走する。大ネタは志らく師におまかせして自分は中ネタを二席と談笑は続いて「片棒・改」を演じた。こちらも古典を換骨奪胎、エロありグロありナンセンスあり、シニカルでスラップスティックな談笑ワールドを展開した。

トリはもちろん立川志らく。古典の名作「子別れ」を中から下まで演じた。志らくも噺に独自の演出を加えるが、談笑が自分の世界へと過激に引きこんでゆくのと対照的に、志らくは元の話の良さを活かし膨らませてゆく。随所に伏線を張り巡らした立体的な構成に落語へのオマージュを散りばめ、謂わば古典落語ワールドといった世界を作り上げてしまう。こうした演出の妙を支える語り口と演技の確かさも正に一級品。「さすが」としか言いようがない。

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2009.09.27

米丸を聴く

西武池袋駅地下コンコースには色んな露店(?)がやってくる。まんじゅう屋、洋菓子店、北海道特産展、カバン、インターネット接続サービス、等々。CD・DVDの安売りも定番だ。シルバーウィーク明けの木曜日、ここで『昭和の名人による滑稽噺選・桂米丸』を買った。昨日はチャボヒバの丈詰めの後、芝刈りをしながらiPODでこのCDを楽しんだ。

桂米丸(四代目)は落語芸術協会・最高顧問を務める落語界の重鎮。最新の風俗をとりこんだ都会的な新作落語で人気を博した。ボクは子どもの頃、日曜日にやっていた牧伸二の「大正テレビ寄席」が大好きで米丸の話もその頃に親しんだものだ。

『昭和の名人による滑稽噺選・桂米丸』には「狭き門」、「試着室」、「宝石病」、「手料理」の四作品が収められている。いずれも懐かしい昭和の世風を題材としており、米丸の淡々とした語り口もあってゆったりとした気分にさせてくれる。中でもナンセンスで破天荒な「狭き門」がボクのお気に入りだ。

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2009.09.26

中田さんがスゴい

昨日は職場の懇親会でルミネ・ザ・よしもとへ行った。品川庄司ブラックマヨネーズなどテレビで見知った顔も何組かはあったが初めて見る芸人の方が多かった。それだけこちらが世知に疎くなっているのだろう。

次から次へと漫才コンビ、漫談師が舞台に上がったが、なんと言っても圧巻だったのはトリを務めた中田カウス・ボタンだ。軽妙な話術といい、自由自在なネタの展開といい、正に融通無碍の境地である。このコンビはホンモノだと思った。ホンモノは本当にスゴいのだ。

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2009.07.11

四万六千日

四万六千日というと先ずはなんと言っても浅草寺の鬼灯市が思い出される。もっともボクはまだ行ったことがないのだが……。

いつからか都電なき町鬼灯市 山越渚

例によってハンディ歳時記から。かつて東京の公共交通の主役であった都電が相次いで廃止されたのは1960年代。荒川線を除く最後の6路線が姿を消した年でさえ1972年。ボクは10歳だった。それでも何となく都電という言葉の響きには郷愁を誘われるところがある。その都電を、こちらも懐かしさを掻きたてる鬼灯と取り合わせたところに妙味を感じる。
鬼灯や子の眼のがれし二た袋 阿部みどり女
宿の娘の鬼灯一つ見せに来る 神山杏雨

ハンディ歳時記から更に2句。鬼灯が子ども達のおもちゃだった時代もあった。ボクも母から鬼灯の鳴らし方を教わったが少しも鳴らすことができなかったのを憶えている。きっと今の子ども達はそんな遊びは知らないのだろうなぁ。

もう一つ四万六千日で思い出すのは落語の『船徳』だ。遊興が過ぎて勘当を食らった若旦那の徳兵衛が馴染みの船宿に居候の挙句、船頭の真似ごとを始める。四万六千日の参拝客を乗せ大川(現・隅田川)に漕ぎ出すが……。川風の涼しさを想像しながら珍騒動に耳を傾ければ幾分かは暑さも忘れられるかもしれない。

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2009.01.21

映画に寄席に

1月4日。10日間に及んだ年末・年始の休暇も今日が最後。仕上げに家族そろって出かけることにした。いつものように妻は映画を見たいと言い息子は寄席に行きたいと言う。年明け早々もめるのも面倒なので欲張って両方行くことにし、さっそく池袋に向かった。

まず午前は映画。サンシャイン通りのヒューマックスで『K-20怪人二十面相・伝』を観た。ひとことで言えば痛快アクション活劇、頭を空っぽにして観れば間違いなく楽しいひと時が過ごせる、といった作品だ。江戸川乱歩「怪人二十面相」シリーズをベースに斬新なアレンジ、再解釈を加えたおり、その意外性や面白さも作品の魅力の一つとなっているが、その一点にばかり寄りかかることなくエンターテイメントとしての面白さを追求しており好感が持てる。出演者の中では名探偵・明智小五郎を演じた仲村トオルの嫌味なくらいにクールな二枚目ぶりが主演の金城武と松たか子をも喰う勢いで印象的だった。

続いて向かったのは池袋演芸場。松の内は混むだろうと食事も取らずに駅の反対側へ直行。案の定チケット売り場には早くも行列が出来ていた。新春興行は顔見世の趣きが強く出演者が多い分ひとりひとりの持ち時間は短い。それでも現代的で賑やかな春風亭昇太の『時そば』や並外れた粗忽ぶりをカラッと自然に演じた三遊亭小遊三の『堀の内』が聴けて大満足。また懐かしい三笑亭可楽が見られたのも嬉しかった。噺の最中に客の携帯電話が鳴り、可楽はキッとにらむような表情で「ケイタイ、うるせぇぞ」とひと言。会場は一瞬シーンと静まりかけたが、すかさず可楽はおどけた表情で「どこまで話したか忘れちまったよ」。一転して笑いと拍手が会場を轟かした。この時の可楽の顔と声の表情、そして絶妙な間の取り方は実に良かった。

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2008.06.11

一之輔!

5月31日。高校の同窓会報が届く。懐かしい想いに浸りながら、あれこれ記事を見ていて驚いた。なんと春風亭一之輔は12期後輩の同窓生ではないか! 一之輔は三遊亭歌彦とならんでボクの好きな落語家の一人。ことに昨年の秋にポッドキャスティング落語@にふ亭で聞いた『不動坊』は大のお気に入りだ。これはますます応援せねば……。

というわけで一之輔さんのブログはこちらです。
いちのすけえん(http://ichinoske.exblog.jp/)

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2008.06.03

GWを振り返る

5月6日。早いもので11連休に及んだ超大型連休も今日でおしまい。振り返ってみると「お出かけ」が5回にランニングが3本と、3月末に義母を亡くしたばかりで余り華やかなことはなかったものの、それなりに充実していたように思われる。

4/29は狭山の山口観音に参詣。義母の最後を看取ったときボクは山口観音のお守りを握りしめ延命十句観音経を心の中で念じ続けていた。義母が安らかに息を引き取ったのは観音さまのご加護があってのことと思う。そこで妻と二人、観音さまに御礼を申し上げるとともに、義母の冥土への旅を見守って下さるようお願いしてきたのだ。また弘法大師の御影を頂き、翌30日、初月忌(最初の月命日)を迎えた義母の中陰壇に果物と共にお供えした。翌1日は義父も誘って三人で下落合の薬王院へ。3日は妻の実家で食事会。

そして最終日の今日は妻と息子と三人で上野の鈴本演芸場を訪ねた。口開けは来年3月に二代目三平を襲名する林家いっ平、トリは一昨年、大名跡を継いだ正蔵と、何かと話題の絶えない兄弟二人を迎え、立ち見も出る盛況ぶりだった。正蔵は「お菊の皿」を演じたが、現代風に味付けされておりながら過度に浮ついたところがなく、なかなかしっかりとした出来栄えだった。もう名実共に「こぶちゃん」ではないようだ。他にも大好きな柳家喜多八(「小言念仏」)や三遊亭小円歌(三味線漫談)をライブで見られご機嫌であった。

ランニングは4/26、4/30、5/5と3~4日おきに11キロずつ走った。自宅から八国山を越えて多摩湖までの道を往復するいつものコースだ。1月にランニングを再開以来、徐々にペースを上げ、ようやく57分台前半まで辿りついたが、このコースの自己ベストにはまだまだ2分ほど届かない。せめてあと1分、入梅までにタイムを削っておきたいところだ。

「お出かけ」とランニング以外に何をしていたかというと庭仕事と読書くらいなものだ。庭仕事は主に草むしりと掃除。昨年の秋に腰を痛めてからは庭の手入れもさぼりがちで、すっかり荒れ果てた庭に謝るようにして一本一本、雑草を抜いていった。読書のほうもマンガばかりだったが、友人に薦められて読んだ石塚真一の『岳』(1~6巻)が余りにも素晴らしくて何度も繰返し読んでしまったほどだ。作者の山への熱い想い、山に登らずにはいられない人々への深い愛情、そしてそこで命を落とすまで戦い抜いた人々への尊崇な敬意がずっしりと伝わってくる作品だ。この作品に出会えたこともGWの大きな収穫である。あとは待ちに待った『頭文字D』の最新刊・37巻。こちらは例によって例のごとくなのだが、ボクはそれが好きなのだから、それでいい。

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